歌手活動を経て
夢だったミュージカル俳優へ

Q.歌手デビューの後、ミュージカル俳優に転向されたそうですね。

 ミュージカルというジャンルは、演技と歌、そして踊りを全て含む“総合芸術”をステージ上で披露できる点が長所だと思います。そして、毎回ライブで新しい観客と出会うのもとても魅力的です。僕はもともと演技を専攻していたのですが、せりふを歌、音楽で表現すると、確かにプラスになる部分があります。感情を膨らませることにおいては、音楽に勝るものはないと思いますし、それに最もふさわしいのがミュージカルだと思ったんです。それで、ミュージカル俳優になりたいと思いました。

Q.2003年、ミュージカルデビュー作の「ウェルテルの恋(原題:若きウェルテルの悩み)」では主人公に抜てきされました。当時のことを覚えていますか。

 オーディションのときはすごく緊張しました。ミュージカル俳優になることが夢でしたし、演技を専攻して芸術高校を卒業したとはいえ、歌手として先にデビューしたので、皆さんの視線は、「あ、歌手が来たんだ」というのが大きかったんです。だからこそ真剣に頑張ったんだと思います。ただ、演劇映画科における先輩後輩の関係というのは、高校と大学で経験してよく知っていたし、僕も皆さんに気軽に接していたので、先輩たちも僕のことを歌手というイメージというよりは、親しい後輩のように、ミュージカル俳優として認めてくれました。あと、初めての作品だったので、演出家の指導を一つ一つ細かくチェックしながらやっていました。

Q.公演後、“花ウェル”という愛称を得るほど支持されましたね。

 ミュージカル俳優として初めて舞台に立ったときは、すごくワクワクして緊張しましたが、観客と自分が一つになったとき、劇場内の空気が一つになる瞬間がありました。そうなったら気持ちが楽になって、自分の演技だけに集中することができました。まあ、次の日はまた緊張しましたけど。とにかくすごく良くて、カーテンコールのときは観客の皆さんが拍手を送ってくださって、みんなで一緒に泣いたのがいまだに記憶に残っています。

Q.イケメンミュージカル俳優として、さらに注目されたことで、演技力の評価において損をしたと思ったことはありませんか。

 それもなくはなかったですね。僕がキャラクターについて構想し、役作りをしても、いつも“花”という言葉が作品の前に付いていて、あの作品をやっても、この作品をやってもずっと“花”が付いていました。初めは感謝していましたが、その後、“演技派俳優”“千の顔を持つ俳優”と言われたいと思ったときにもずっと“花”という言葉が付いていて。記事も全部そんなふうに出ていたし、ちょっと飽きてしまった時期もありました。でも、僕が30代に入って、ある程度年も重ねて、わざわざ自分の演技はああだこうだ言わなくても、自然に演技力に対する評価が出て、歌に対する評価が出始めました。だから、そういうのを考えなくても分かってくださる方がいるだろうな、という信頼もできて、プライドもできました。今は、もしまたそんなふうに呼ばれても感謝しながら受け止めようと思います。いつまでそう呼ばれるのかなって(笑)。

「ウェルテルの恋」ほど
濃い恋愛ミュージカルはない

Q.演じる俳優の立場で、韓国オリジナルミュージカルが持つ魅力を教えてください。

 韓国人俳優がやっているということ、それが一番大きなポイントだと思います。韓国創作ミュージカルには、韓国的な情緒があり、それを韓国語で表現し、韓国人俳優が演じるとことで全てが盛り込まれるんだと思います。『若きウェルテルの悩み』も、誰もが知っている小説ではありますが、それを韓国のスタッフたちが作り上げ、韓国の俳優が演じているというのが魅力です。もし、この作品を日本で日本の演出家と俳優が作ったら、全く違う作品になるでしょう。だから、日本の皆さんがどんなふうに受け止めてくださるかも気になります。あと、以前、韓国で上演されたミュージカルが日本で上演されるに当たり、キャストが変わるのを見ました。そういう部分においては、商業性を考えなければならない部分も当然あると思います。でも、やっぱり少し残念だなと思いました。俳優に偏るしかないのも事実ですが。作品自体の力で、そしてその作品をうまく演じられる素晴らしい俳優がたくさんいるので、今後、そいうことを考える方向に向かってほしいです。だから今回、僕が、韓国のミュージカル俳優の中でもこんなにいい俳優がいるんだということをぜひ知らせたいです。

Q.「若きウェルテルの悩み」はダヒョンさんにとって特別な作品だと思いますが、再びウェルテルを演じる感想を教えてください。

 この作品は恋愛物ですが、僕は恋愛物をすごくやってみたかったんです。これから、ドラマや映画でも本当に濃い恋愛物をやってみたいです。その意味で、ミュージカル作品としては「ウェルテルの恋」よりいい作品はありません。恋というのは、自分の全てを捧げることじゃないですか。受けるのではなく、与える立場。僕はこの作品の中で、ロッテという人物を心から愛そうと思っています。稽古が始まったばかりのころは、相手役との距離感というか、ある程度そういう感情を維持しようとしました。あまりにも親しくなったら、そういう微妙な感情を逃すかもしれないと思ったんです。実際に俳優同士でも、キャラクターの感情を維持しようと、人間キム・ダヒョンとして近付かなかったんです。相手役の方はちょっとぎこちなく感じたかもしれませんが、僕はキャラクターのためにそうしました。そうすれば、舞台の上では本当にロッテを愛することになるんです。

Q.2012年はミュージカルと演劇を合わせて何と6作品に出演されましたが、普段、ミュージカル俳優として特別にやっていることは?

 体力管理にすごく気を付けています。もともと持ち歩いてる台本が入っているかばんと、もう一つのかばんがあって、このかばんには栄養剤、健康補助食品、ビタミン、ぶどう汁、梨汁、赤にんじん、喉にいい薬、喉あめ、水などいろいろな物が入っています。それを欠かさず飲みながら体力を管理しています(笑)。体力は大事なんですよ。「あんなにたくさんの作品をやるから、ああなっちゃった」とは言われたくないので。どれだけの作品をやっても平気だということをお見せするために(笑)。

Q.最後に、2013年の目標を教えてください。

 2013年も、またいい作品でごあいさつすることになるでしょう。違うキャラクターで、そのたびにキャラクターについて一生懸命に研究し、キム・ダヒョンという俳優がいろんなキャラクターを消化できるように努力するつもりです。多くの方が見に来てくださるのが、僕にとって一番の幸せで、目標だと思います。その方たちを失望させないように、常にいい姿をお見せするのが一番大きな目標です。あとは…これはちょっと恥ずかしいですけど、日本でファンミーティングをしてみたいです。ハグをしたり握手をしたりするファン・ミーティング。他の芸能人や歌手、俳優がやっているのを見て、僕もやりたいと思いました。1000人と握手をするのも大丈夫です(笑)。

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