Q.10年ぶりに同じ役を演じることになりましたが、いかがですか。

 キャスティングが決まってうれしかったです。2003年に初演してから9年のブランクがあります。9年の間、ぜひもう一度演じたい作品でした。

Q.どうして、もう一度演じたいと?

 当時これがデビュー作でした。慣れてなくて、演出家の方に言われるがままを消化しているという感じでした。それ以降、9年間、さまざまな役を演じてきたので、当時20代で演じたものとは違う30代のウェルテルが演じられると思うからです。

Q.歌手でデビューされてミュージカルに転向し、今は映画やテレビでも活躍され、幅広く活動されていますが、ダヒョンさんにとって、中でもミュージカルとはどんなものですか。

 もともと、僕の夢がミュージカル俳優だったんです。歌と演技という両方が必要な総合芸術の頂点にあるものだと思うんです。また、ライブ芸術の醍醐味もあります。かつて歌手としてデビューしましたが、今は時代も変わったので、1つのことだけをやるのではなくて、さまざまな方面で活動できる時代だと思います。なので、将来的にその可能性があれば、やってみたいと思います。

Q.また歌手をやってみたいということですか。

 もちろんあります。ロックグループで活動していたとき、J-POPもよく聴いていました。それに、日本公演もやってみたいと思っていたんです。ステージに立つという点では、ミュージカルも歌手も同じです。将来的にチャンスがあれば、歌手としてステージに立つというのもやってみたいとは思います。

Q.ミュージカル俳優になりたいと思ったきっかけは?

 「ドリームハイ」というドラマにも登場しましたが、僕の通った高校が芸術学校でした。演技を勉強したのですが、演技の基礎となるのが演劇ですので、そのときに4大悲劇などの演劇の名作を勉強してきたんですね。そんな中、ミュージカル音楽に触れる機会があって、戦慄が走ったんです。

Q.韓国の公演ではウェルテル役は4人いますが、ダヒョンさんはどんな風に表現したいですか。

 沸き立つような愛に対する気持ちや情熱を表現したいと思います。僕のファンカフェの名前が、「純粋な情熱のキム・ダヒョン」なんですね(笑)。2003年のときは、純粋で情熱的だったと思うので、そういうネーミングになったと思うんですが、今は30代にもなったので、純粋さを越えた何か、愛というのはさまざまな面があります。そういった愛の複合的で多面的な面を見せたいです。ウェルテルがロッテに初めて会ったとき、人生を変える恋をしますが、その後、怒り、しっとを覚え、悲劇になっていきます。純粋さを超えたディテールを見せていきたいと思います。

Q.日本公演でのダブルキャストであるチョン・ドンソクさんについてどう思いますか。

 ラグビーボールみたいな魅力を持つ人だなと思います。というのは、例えば演出家が何か質問しますね、「ウェルテルのこのときの気持ちはどうか」など。そしたらドンソクは、予想しないような答えをしてくるんです。最初は、ドンソクはウェルテルに合ってるんだろうか?と疑問に思ったりもしたんですが、だんだんとドンソクだけにしかできない答えや表現のできる、多様性の持った俳優なんだと気づいたんです。ドンソクにしかできない魅力をもっていると思います。また、ドンソクを見ていて、昔の自分を思い出すこともあります。

Q.高校は芸術学校で、学んだことは役に立っていますか。

 ミュージカルは歌も踊りもありますが、僕は歌も踊りも専攻で学んでいません。しかし、基本が大事だと最近は思うのですが、基本的な体の動かし方やターン、そして作品やキャラクターをどのように分析するなどの高校時代に学んだ基本は、今でもとても役に立っています。

Q.高校以降に専門で学んだのですか?

 大学は演劇科でしたが、実際のところは現場で、作品をやりながら学んだことが多いです。特に僕にとっては師匠といえる方で、韓国ミュージカルの第一世代であるナム・ギョンオプ先生からは、大変多くのことを学びました。

Q.今回の作品は韓国製の創作作品ですが、韓国のオリジナル作品にはどんな特徴があると思いますか。

 ブロードウェイミュージカルは、スペクタクルでドラマティカル、アンサンブルやダンスの魅力などがあると思います。一方韓国創作ミュージカルは、強みであり、改善も必要な点だとも思いますが、韓国の情緒が作品に投影されています。構成やキャラクターの関係図も韓国っぽいと思います。このような韓国の情緒で作られた作品が、今回日本に行ったとき、日本の方がどのような反応をするのかをぜひ受け取って帰りたいと思っています。僕は、ライセンスされたブロードウェイミュージカルの「ヘドウィグ」「プロデューサーズ」などへの出演経験もありますが、そういった有名作品は日本からも見に来てくださる方もいて、韓国の俳優は感情表現が優れているとお話しくださることがあります。そういった点もあるのかな、と思います。また、韓国の物語りをオリジナルミュージカルにするのはよくありますが、「ウェルテルの恋」のように、ドイツの原作で韓国オリジナルという作品は珍しいと思います。

Q.ドラマでキム・ダヒョンさんを知っている日本のファンの方にも一言お願いします。

 僕のこと、知ってますかね?(笑) ドラマとミュージカルの演技はぜんぜん違いますが、今回、日本の方に本当にお会いしたかったので本当にうれしいです。そして、この作品を日本のみなさんにお見せできるのがうれしいです。

Q.この作品で一番好きなシーンはどこですか。

 本当にたくさんあるので難しいのですが、ロッテにはアルベルトという完璧な婚約者がいるということを知って、ウェルテルが非常に衝撃を受けるんですね。そのときの独白があるんですが、それが一番好きなシーンです。

Q.ドラマや映画にも出られて、作品に追われているように見えますが、ストレスはどのように解消されていますか。

 まず、この生活が幸せだと思うようにしています。肉体的には本当につらいのですが、僕が忙しい分、観客のみなさんが望んでくださっているというふうに思えます。その分、観客のみなさんによりよいものをお届けしたいという気持ちになります。気分転換の方法は、たとえば、今回の「ウェルテルの恋」は気分がダウンするストーリーですね。それで、次は「ロック・オブ・エイジズ」(ドリュー役)に出る予定にしています。全く違う明るいキャラクターを演じることで、気分転換を図るようにしています。

Q.チョン・ドンソクさんは“王子”だそうですが、ダヒョンさんはどんなニックネームでお呼びしましょうか?

 自分では言いにくいのですが、「ウェルテルの恋」を演じたデビューの頃、花キム・ダヒョンなど、“花”とつけた言い方をよくされました。今はもう年もとったので、“花”をつけるのはちょっとかんべんしてほしいな、と思います(笑)。最近はディテール・キムというニックネームもあります。僕の舞台を見てから日本の方につけてもらうのがいいです(笑)。

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