FEATURE & INTERVIEW 特集・インタビュー

「赤道の男」イ・ジュニョク、“切ない悪人”で新境地

2013年2月11日

 父が犯した罪を隠すため、親友ソヌを裏切り崖から突き落とす…。「赤道の男」で“悪役”ジャンイルを演じたイ・ジュニョクは、繊細な演技で複雑な心理状態を表現し、その孤独な姿に同情すら感じる、と視聴者に言わしめた。入隊前最後の出演作となった本作に、彼が込めた思いとは?
※このインタビューは2012年4月に行われたものです。

Q.作品とイ・ジャンイルについてご紹介をお願いします。

 「赤道の男」は欲望について描かれたドラマです“復讐(ふくしゅう)”や“許し”といった、人間の欲望が描かれています。ジャンイルは成功や出世に対して貪欲なキャラクターです。実は当初は、許されない罪を犯したジャンイルを演じることが苦痛でした。もし自分だったらと考えると、親友を陥れたことで自己嫌悪に陥るだろうし。とにかく彼を徹底的に憎みました。今でも、彼がやったことは悪いと思います。それは事実だけど、彼の人生は、悪事を働いた結果、幸せになるのではなく悲惨な末路をたどるので、教訓を残してくれていると思います。彼の欲望には、共感できる部分もあるんです。

Q.役作りのためにどんな準備をしましたか?

 彼は行動自体が強烈なので、二面性を表すようにしました。外見についても同様に、男らしさよりも女性っぽさを出したり、バンパイアのような中性的な人物を目指しました。現実には存在しないかのような危うい雰囲気を醸し出すように、衣装や外見などにも気を使いました。

Q.特に苦労した点は?

 普通はドラマに出ると、5~10話ぐらいで登場人物の人間関係や雰囲気が固まり、楽になってくるのですが、ジャンイルの場合は2、3話のうちに周りの状況が一変し、彼の置かれる立場も変わってしまうので、2話ごとに違うキャラクターを演じているような印象でした。状況が変わるたびに新たに役作りをするので、そこがある意味面白くもあり大変な部分でもありました。

Q.激しいおえつや目線の演技が素晴らしかったです。

 泣くシーンは消耗しますからね。一番きつかったのは父親が首をつるシーンで、“子どものように泣く”という指示があったんです。感情を込めて演じたものの、監督は淡々とした演技を望んだためNGになりました。感情を消耗する場面なのにNGがたくさん出た上、自分でも満足できなくて、監督に頼んで何度も撮り直してもらったので、肉体的にも精神的にもきつかったです。

Q.オム・テウンさんとの共演はいかがでしたか?

 テウンさんは仕事に対してプロフェッショナルで、頼もしい人だと思いました。彼との共演は穏やかな感じでした。現場では集中して物静かな方です。役柄上、テウンさんが演じたソヌと僕が演じたジャンイルは仲良しではなかったので、僕もひたすら演技に集中しました。

Q.演出のキム・ヨンス監督はどんな方ですか?

 独特な発想の持ち主で、自信にあふれた方です。今まで見たことのない方法でカメラを動かしたり、目新しい映像が撮れるという期待を抱かせてくれました。時間がかかって大変なときもありましたが、僕にとっては楽しかったし新鮮でした。俳優の演技をよく見てくれる方ですし、よりよい方向へと導いてくれました。時に頂く厳しい意見もありがたかったです。

Q.脚本家のキム・イニョンさんはどうでしたか。

 僕は数回しかお会いしたことがないので、こういう方ですとは言えませんが、まずは面白いストーリーを書いてくれる方です。ひとつの見方に固執するのではなく、さまざまな状況に対応できる、そういう方だと思います。韓国ドラマは予想を裏切る展開になりがちですが、その点にもきちんと対応されていました。ソヌとジャンイルが屋上で泣く場面がありますが、あのシーンを見ると、ソヌがジャンイルを許そうとした気持ちを脚本家が拒んでいるような気がしました。

Q.屋上のシーンは壮絶でしたね。

 「あの時もっと強く殴って殺すべきだった」。ジャンイルはそう言って泣いていましたよね。視聴者は、ジャンイルを真の悪人だと感じたでしょう。しかしその一方で、ジャンイルの本心は何だろうと思わせるシーンでもあるんです。表面上、悪ぶっているだけではないのかと。このシーンの台本をもらった時は、正直戸惑いました。一般的なパターンとは違うので、ジャンイルの真意を僕なりに解釈してみました。「彼は過去に戻ってもまた過ちを犯すだろう」と。一方で、ソヌの態度は悪魔のように冷酷でした。ジャンイルは、ソヌが悪魔のように振る舞うことに動揺したんです。確かにジャンイルは昔、ソヌを殺そうとしたけれど、自分を受け入れてくれた最後の理解者であったはずのソヌが、突然悪魔と化して現れたことに大きな衝撃を受けたんです。だからあのセリフには、「悪魔になって戻ってくると分かっていたら殺していた」という気持ちを込めました。

 
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